おちゃらけた兄としっかり者の妹。兄妹コンビの愉快な絵本「An Arthur Adventure」シリーズ

Arthur Adventure 絵本
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愉快なストーリーに爆笑しながらアメリカの小学校生活を追体験!そんな楽しい絵本シリーズを紹介します。

概要

まとめ

  • YL1~2
  • 「Arthur」シリーズの絵本。「小学生あるある」たっぷりの愉快なシリーズ。
  • おちゃらけた性格の兄が何かをやらかし、しっかり者の妹がツッコんだり手助けしたりする。
  • 絵本の他、リーダーズ(Step into Reading)やチャプターブックもあり、ステップアップ可能。

どんなシリーズ?

「An Arthur Adventure」シリーズは、ひと昔前に大人気だった「Arthur」シリーズの絵本です。PBSでテレビアニメが放映され、VHSも発売されていました。

主人公は、おちゃらけていてちょっと抜けたところもある兄Arthurとしっかり者の妹D.W.。お話はいつも何か事件が起きるところからスタートし、悩む兄に対してD.W.やArthurのクラスメイトたちが冷静にツッコんだり手助けしたりする――という展開で、笑える話が好きな人ならきっと気に入ると思います。「小学生あるある」がたくさん詰まっているので、共感できる話も多いはず。兄妹はアメリカ在住という設定のため、アメリカの子どもたちの日常生活を追体験できる点も魅力です。

絵柄が可愛らしく、特にリーダーズや絵本は読み聞かせにも向いていますが、内容的には園児向けではなく小学生以上(もちろん大人も)の方が理解しやすいかもしれません。

難易度の違い

「An Arthur Adventure」シリーズは絵本の他、リーダーズ(Step into Readingから出ています)、チャプターブックもあり、絵本から少しずつ難しい本へとステップアップすることができます。

↓シリーズの難易度をまとめてみました。

種類難易度(YL)
Step into Reading(Step3)0.7~0.8
絵本1~2
チャプターブック2.8~3.8

読み聞かせしやすいのは「Step into Reading」から出ているリーダーズです(語数が500語前後と短く、内容も比較的簡単)。この記事で紹介する絵本はリーダーズよりちょっと長めで難易度も上がるものが多く、人によっては読み聞かせるのに躊躇する方もいるかもしれません(700~1,000語前後の本が多いです。しかし中には300語弱と短い本もあります)。

もしこの絵本シリーズを自分で読むなら、”Nate the Great”や「I Can Read!」のLevel2あたりがスラスラ読めると、英語レベルとしてはちょうどいいのではないかと思います。

チャプターブックのシリーズは難易度がグッと上がります。こちらは長い本が本格的に読めるようになってからがおすすめです。

同レベル帯で他にオススメは?

もしこのシリーズが気に入ったら、他にこんなシリーズも気に入るかもしれません(以下、あくまで私が実際に読んだ本の中から紹介します)。全て絵本と同じくらいの英語レベル(YL1~2)です。

  • I Can Read! Level2「Marley」シリーズ(主人公は犬と女子小学生。犬が騒動を起こしまくる爆笑系リーダーズ)
  • 「Mercy Watson」シリーズ(ブタが騒動を起こしまくるコメディ系チャプターブック)
  • Scholastic Branches「KUNG POW CHICKEN」シリーズ(普段は小学生男子。でも実はスーパーヒーローで町の平和を守るため悪と戦っているという設定のチャプターブック。半分漫画)
  • 「Black Lagoon Adventures」シリーズ(アメリカの小学校生活を描いたコメディ系チャプターブック)

「Black Lagoon Adventures」シリーズは紹介記事を書いています。詳細は↓をご覧ください。

あらすじと感想

ここからは実際に読んだ本のあらすじと感想をまとめます。

なお、この記事で紹介する絵本は出版されてから時間が経っているため、新品では入手しづらいかもしれません。中古に抵抗がない方はぜひ、古書店やフリマサイトなども含めて探してみてください。新品がいい!という方はStep into Readingから出ているリーダーズをオススメします(こちらは洋書を取り扱っている書店やAmazonなどで新品購入できます)。

Arthur’s Chicken Pox

  • YL1.2(主観)
  • 語数:793語

Arthur一家は今度の土曜日にサーカスを見に行くのを楽しみにしていました。ところが月曜日、Arthurは熱が出てしまい学校を早退。だんだん具合が悪くなり、顔中に発疹が現れ…どうやら水ぼうそう(chicken pox)になってしまったようです。病人だからという理由で家族から特別扱いを受けるArthurを見て、妹のD.W.は釈然としない様子。自分も兄と同じように特別扱いされたいと考えた彼女は、ある作戦を思いつきますが――。果たして一家は無事に土曜日のサーカスに行けるのでしょうか?

病気の時に家族から優しくされたり、特別扱いされたりすると、なんだかちょっと嬉しくなったことを思い出しました。妹のD.W.が兄を羨ましがったり、わざとひどいことを言ったりする理由もわかる気がします。わかりやすい英語と、隅から隅までながめられる飽きないイラストで、あっという間に読み終えました。それにしても欧米の絵本やリーダーズって、水ぼうそうを題材にしたものがたくさんあるように思います。日本とは文化が違うのですね。

Arthur’sPet Business

  • YL
  • 語数:862語

子犬が飼いたくて、もう何か月もペットショップで子犬を見ているArthur。話を聞いた両親は彼に、犬のお世話ができるなら飼ってもいいと伝えます。ただし、まずは自分に責任感があるということを証明しなくてはならないという条件付きです。そこでArthurは、町の人たちのペットを世話する仕事をはじめます。他人のペットを責任もって世話できれば、自分のペットの世話もきちんとできるという証明になると考えたのです。ところが、とんでもない依頼が次々に舞い込んで――。

Arthur家に次々と持ち込まれる生き物の描写に笑ってしまいました。Arthurが難しい性格の犬Perky(と、癖アリの飼い主)相手に奮闘する様子や、ちゃっかりしたD.W.の言動が愉快で、あっという間に読み終えました。大事なペットの世話を小学生に頼むか?という疑問は封印しておこうと思います(笑)。後日談にあたる”Arthur’s New Puppy”とぜひセットで読んでみてください。

Arthur’s New Puppy

  • YL1.6(主観)
  • 語数:968語

Arthurは新しく飼うことになった子犬が大好き。ガレージで飼うはずでしたが、可哀想に思ったArthurは、「1日か2日だけ」という条件付きで子犬を家の中へと連れて行きます。ところが子犬は大興奮!夜遅くまで吠え続けた挙句、家じゅうをめちゃくちゃに荒らしてしまいました。このままでは家で飼い続けられないかも…。困ったArthurは、子犬をしつけようとしますが――。

めちゃくちゃに荒らされた家の様子が細部まで丁寧に描かれていて、じっくり見ると色々な発見もあり、絵を眺めるだけでも楽しめました。眠そうな顔、驚く顔、呆れている顔など、ページをめくる度に家族の表情もクルクルと変わります。お話としてはよくある展開ですが、ユーモラスで楽しいイラスト(そしていたずらっ子の可愛い子犬)が最高の一冊でした。

Arthur Meets the President

  • YL1.2(主観)
  • 語数:993語

Arthurとクラスメイトたちは、全米の作文コンテストに応募します。優勝者のクラスはホワイトハウスに招待されるというのですが――なんと数週間後、Arthurが優勝したという知らせが届きました!クラスメイトたちは大喜びで飛行機に乗り、ホワイトハウスのあるワシントンD.C.へ。しかしArthurは、作文の内容を暗記し大統領の前で披露しなければならないと知り、うまくできるか不安でたまりません。ホテルで眠れずにいるArthurに、お母さんはある秘策を授けます。

コンテストで優勝しただなんて、Arthurすごい!ホワイトハウスの内部や周囲の観光名所(博物館など)についても簡単な描写があり、Arthurと一緒に旅行しているような気分になりました。全体としては真面目な内容のお話ですが、最後はしっかりオチがありフフッと笑えるところがいかにもこのシリーズらしくて好きです。

Arthur’s TV Trouble

  • YL2(主観)
  • 語数:759語

ArthurはテレビCMで知った”Treat Timer”(ペットのおやつマシーン)が欲しくてたまりません。おこづかいを前借りして買おうと考えますが、両親に断られてしまいます。そこで、近所に住む人のお手伝いをしてお金を稼ごうとしますが――。

どうしても欲しいものがある時、なんとか自分で稼ごうとするというところがいかにもアメリカらしい展開です。冷静にツッコミを入れたり手伝ったりするD.W.がとても頼もしく見えました。個人的に、わからない単語がいつもより多かったためYLを高めにしています(絵から推測して読み飛ばせる程度ですが、細かいニュアンスが知りたくて苦戦しました)。文法的には難しくないと思います。

Arthur’s Computer Disaster

  • YL1.4(主観)
  • 語数:866語

Arthurは最近、”Deep, Dark Sea”というPCゲームにハマっています。一度ゲームを始めるとやめられず、今日もお父さんが「寝る時間だよ」と声をかけても遊び続けていました。翌朝、友だちのBusterがゲームしようとやって来ます。お母さんは2人に「PCを触らないで」と言い残し、会社へ。ところが2人はPCを起動し、ゲームをし始めますが…キーボードが床に落ち、画面が真っ暗になってしまいました!どうしよう!2人はお母さんが帰って来る前にPCを修理しようと試みますが――。

ダメと言われても誘惑に勝てない2人と、それを注意するD.W.。お決まりの展開ながら、PCを修理しようとあれこれアイディアを出す様子が面白く、愉快なお話でした。似たような経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。内容的に、もし読み聞かせるなら園児よりも小学生以上の方が共感できるのではと思います。

Arthur’s Birthday

  • YL1.2
  • 語数:765語

今週末はArthurの誕生日。Arthurはクラスの友だちを誕生日パーティーに招待して回ります。Muffyにも声をかけますが、その日は行けないという返事。なんと同じ日にMuffyも誕生日パーティーを開くというのです!困ったのはクラスメイトたち。ArthurとMuffy、どちらのパーティーに行けばよいのでしょうか?

アメリカの小説や絵本って誕生日パーティーのお話が本当に多いですね。いつもよりも人間関係がゴタゴタしている内容でしたが、最後の展開はこのシリーズらしいユーモアがあり、思わず笑ってしまいました。平易な英語で書かれておりとても読みやすいですが、内容的には園児ではなく小学生以上向けだと思います(spin the bottleというゲームが出てきます)。また、クラスメイトたちのキャラクター性がわかっている方がより楽しめるので、シリーズを何冊か読んだ後に読むことをおすすめます。

Arthur’s Teacher Moves In

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  • YL1
  • 語数:1,095語

季節は冬。担任の先生の家の屋根が雪で壊れてしまったことを知り、不憫に思ったArthurの両親は、屋根の修理が終わるまでの間、先生を自宅に招くことにします。先生と一緒に暮らすなんて!とはじめは窮屈に思ったArthurですが、少しずつ新しい生活に慣れはじめました。ところが今度はクラスメイトたちから、テストでよい点数を取れたのは先生と暮らしているからではないか、えこひいきではないかと疑われ――。

平易な英語で書かれておりとても読みやすいのですが、内容は結構重めです。先生やクラスメイトとの人間関係って本当に難しいですよね。国や言葉が違っても悩むポイントは同じなのだとしみじみ思いました。今作は笑える要素は控えめです。

Arthur’s Nose

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  • YL1(主観)
  • 語数:281語

Arthurは自分の鼻が好きではありません。だって、鼻が長すぎて前の席の子にぶつかってしまうし、かくれんぼではいつも鼻のせいですぐに見つけられてしまいます。Arthurは悩んだ末に、鼻の専門医を受診し、新しい鼻にしてもらおうと考えますが――。

いつもと絵が異なりますが、いつものArthurシリーズです!とても短く、語彙も比較的簡単なので、読み聞かせしやすいと思います。お話の内容もこのシリーズとしては珍しく、園児でもじゅうぶん理解できる展開です。いろんな動物の鼻が出てくるところが単純に面白いですし、自分の容姿に悩んだことがある人は、その経験に重ね合わせて読むことができるのではと思います。

Arthur’s Eyes

  • YL1(主観)
  • 語数:537語

Arthurは目が悪く、学校では黒板が見えないし、教科書も目を近づけなければ読めず、算数の問題を間違えてばかり。シュートもままならないので、一緒にバスケで遊んでくれる相手もいません。そこでメガネをかけることになりましたが、初めてメガネをかけて登校したArthurは、その姿をみんなに笑われてしまいます。メガネなんて嫌だ!Arthurは再びメガネなしで過ごそうとしますが――。

「目が悪いあるある」がたっぷり詰まっていて、とても共感できるお話でした。初めてメガネをかけて学校に行った時とても緊張したことや、メガネ姿についてクラスメイトからあれこれ言われて嫌だったこと、慣れるまで大変だったことなどを思いました。メガネをかけたことがある人ならきっと共感できるお話ではないでしょうか。


シリーズはまだまだ他にもたくさんあります。ぜひ一度読んでみてください。

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