大人も怖い!? 短編ホラー集「Mister Shivers」全4冊

チャプターブック
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怖い話が好き。でも本格的なチャプターブックはまだ早い…。そんな方におすすめの短編ホラー集「Mister Shivers」を紹介します。

概要

  • Scholastic Acorn
  • YL1.2~1.5(主観)
  • 語数:約1,200~1,400語
  • フルカラー、各ページに挿絵あり。各巻とも56ページ
  • ホラー小説(短編集)。各巻に5話ずつ収録されており、主人公や内容は全て異なるなので、どこから読んでも問題なし
  • 作者は「Eerie Elementary」「The Last Kids on Earth」シリーズのMax Brallier(別名義だが同一人物)

「Mister Shivers」は、チャプターブックへの移行期にぴったりの「Scholastic Acorn」の中のいちシリーズ。全4冊(2025年9月に5巻が発売予定)のホラー短編集で、各巻は5話の短編から構成されています。1冊あたり約1,200~1,400語、各短編は200~300語程度と本当に短く、気軽にサッと読めます。各話は登場人物も内容もバラバラのため、どこから読んでも問題ありません。

各巻の巻頭にあるプロローグは、1冊全て読み終えてから改めて読み直すと、「あっ!」と気付いて恐ろしさが増す…というような内容になっています。また、各巻の表紙には透明な凸凹でちょっと怖い警告が書かれており、ホラー好きならきっとテンションが上がると思います。こういうちょっとした仕掛けのおかげで、読む前からワクワクが止まりませんでした。

「Scholastic Acorn」は、一人で本が読めるようになった頃~小学校低学年ぐらいの子ども向けですが、このシリーズは大人が読んでも結構怖く、楽しめます。得体の知れない「何か」に出会ってしまったり、現代科学では説明できないような奇妙な現象に巻き込まれるといった内容が中心で、テレビの「本当にあった怖い話」シリーズのようなテイストです。あくまで子ども向けなので、人が亡くなる場面やスプラッターな描写、怖すぎる心理描写はありません。

作者は「Eerie Elementary」「The Last Kids on Earth」などのシリーズも手掛けたMax Brallier(「Eerie Elementary」はJack Chabert名義で出版されています)。こちらのシリーズが気に入った方は、他のシリーズも読めるようになりたい!と目標してもいいかもしれません。

あらすじと感想

ここからは全4冊のあらすじと実際に読んだ感想を紹介します。

#1:Beneath the Bed and Other Scary Stories

  • YL1.4(主観)
  • 語数:1,195語

  • Beneath the Bed…表題作。丘の上に幽霊屋敷があると聞き、「私」は妹と尋ねてみることにします。中に入るとどの部屋も荒れ果てた様子。階段を上った2人が見たものは――。
  • A Hair Down to My Stomach…起床後、喉に痛みを感じた「私」。なんと喉に髪の毛が入ってしまい、胃の方まで続いているようです!お母さんが引っ張っても取れず、病院へ行くと――。
  • The Statue…yard saleで、「私」は1体の奇妙な男の像を見つけます。その像はボロボロの布団でくるまれており、古い臭いがしました。嫌がる私をよそに、お母さんはその像を購入しリビングに飾りますが――。
  • A Dark and Stormy Night…おもちゃを外に出しっ放しで片付けない男の子。両親が何度言っても片づけを忘れてしまいます。そんなある晩、嵐がやってきて――。
  • The Noise at the Window…古くて赤い家に引っ越してきた家族。引っ越してきて最初の夜、「私」が寝ようとすると、何か音が聞こえてきます。お父さんとお母さんは「外の木の枝が窓ガラスに擦れる音だ」と言いますが――。

最初の「Beneath the Bed」と最後の「The Noise at the Window」はなかなかの怖さでした。YL1.4にしていますが、1.2~1.5ぐらいの間で人によって感じ方が変わるかもしれません。ホラーにまつわる単語が多く、擬音語などもあるため、慣れていないと難しめに感じる可能性があります。

#2:Shadow in the Woods and Other Scary Stories

  • YL1.2(主観)
  • 語数:1,252語

  • Shadow in the Woods…表題作。学校から家に帰る道の途中にある、暗い森。そこには大きくて牙のあるモンスターがいて、通る者の名前を呼ぶといいます。ある遅い時間、Hughが一人でその道を歩いていると、フクロウの鳴き声が聞こえてきて――。
  • The Monster in My Room…ベッドの下にモンスターがいると確信しているRuby。家族は「そんなことない」と言って、Rubyが怖がらないよう、あれこれ対策を考えてくれますが――。
  • Fingernails…Tommyには爪を噛む癖がありました。おかげで全ての指の爪がガタガタです。とうとうおばあちゃんに叱られてしまいますが――。
  • The Writing on the Wall…古い家に引っ越してきたSophie一家。でもSophieは誰かに見られているような気がして、その家をどうしても好きになれません。そこで夜、Sophieはとんでもない行動に出ます。
  • The Animal Behind the Locker…ロッカーの後ろから音がすることに気付いたEmma。小動物が閉じ込められてしまっているのではないかと思い、助けようとしますが――。

1巻の数倍怖い!!シリーズで一番怖いと感じました。中でも最初の「Shadow in the Woods」と最後の「The Animal Behind the Locker」は格別の怖さです。「The Animal~」は作者の別シリーズ「Eerie Elementary」を彷彿とさせる展開で、もっと長くして映像化できそうなお話でした。

#3:The Doll in the Hall and Other Scary Stories

  • YL1.2(主観)
  • 語数:1,433語

  • The Doll in the Hall…表題作。初めてベビーシッターをすることになったMia。子どもたちを寝かしつけ、そっと階段を下りた時――「あるもの」に気付き、恐怖します。
  • The Cast…りんごの木を見上げていたDannyは、一匹のイモムシがりんごから顔を出しているのに気付きます。イモムシがこちらを見て笑ったような気がして、このりんごを取ろうとしますが――。
  • Bright White Teeth…にんじん農家の娘Millieはにんじんが嫌い。でもウサギのように夜でもよく見える目になりたくて、一生懸命にんじんを食べようとしますが――。
  • The Jack-o’-lantern…新しい町に引っ越したばかりで友達がいないLia。ハロウィーンなのに、自分で作ったジャックオーランタンだけが「友達」です。やがてこの「友達」は腐りはじめ――。
  • Billy Smiled…Billyはズルばかりする男の子。テストの時はカンニングをし、ジェットコースターでは身長制限をごまかしてクリア。ある日、歯が抜けたBillyは新たな悪だくみを思いつきます。

最初の2話は少し怖いものの、残る3話は怖いというよりsillyとかweirdといった言葉の方がぴったりだと感じました。シリーズ4冊の中ではこの3巻がいちばん怖さ控えめです。ちょっと変わった物語が読みたいという時にうってつけの一冊です。

#4:A Walk in the Dark and Other Scary Stories

  • YL1.5(主観)
  • 語数:1,328語

  • A Walk in the Dark…おじさんの家に泊まりに来たJason。大きくて古いこの家には、女の人の絵が飾られています。夜、Jasonが恐々トイレに行こうとすると――。
  • My First Haircut…自分の髪の毛の上に座れるほど長く髪を伸ばしている女の子。ある日、ついに髪を切りに行くことになりますが――。
  • Fingernail Beach…MariaはいとこのLizとビーチを訪れます。ところがLizはMariaに意地悪なことを言ってばかり。泣きそうになったMariaは、その夜、恐ろしい音を耳にします。
  • The Forever Hotel…ある夏、巨大ホテルのプールで一人泳いでいた「僕」が部屋に戻ると、そこはもぬけの殻で、荷物もないし一緒に来ていたはずのお父さんも見当たらず――。
  • The Stolen Pen…Robinが盗んだペンには「書いたことが現実になる」という不思議な力が宿っていました。Robinが大喜びで書いた願いは――。

2巻に次ぐ怖さ!といっても今作は、大人には古典的で展開が読めるお話がほとんどでした。オチが読めてもしっかり怖いので、ホラー小説に慣れていない子どもはもっと怖く感じるかも。


2025年9月に5巻が発売予定のようです。購入後、また感想を書く予定です。

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