「Unicorn Diaries」は、人気シリーズ「Owl Diaries」の作者が書いた、もうひとつのダイアリーシリーズ。あらすじと感想をまとめて紹介します。
概要
- SCHOLASTIC BRANCHES
- YL1.5(主観) ※Owl Diariesと同じか少し易しいくらい
- 語数:約2,500~3,000語
- 全10巻。1話完結なのでどの巻から読んでも問題なし
- 全ページフルカラー。絵が大きめ
- キャラクターの台詞は全てフキダシになっており読みやすい
- 「ユニコーンの女の子が書いた日記」という設定のファンタジー小説
「Unicorn Diaries」はSCHOLASTIC BRANCHESの中の1シリーズで、主人公はユニコーンの女の子Rainbow Tinseltail(通称Bo)。彼女が書いた日記が本になっているという設定で、各巻は”Hello, diary!”(またはそれをアレンジした言い回し)で始まります。
キャラクターの台詞は全てフキダシになっており、絵本のような感覚で読み進めることができます。1話完結なので、どの巻から読んでも問題ありませんが、1巻が登場キャラクターの紹介を兼ねた内容になっているので、最初に読んでおくとわかりやすいかもしれません。(各巻の最初にもキャラクターや設定の紹介ページがあります。)
他のScholastic Branchesシリーズと同様に、巻末にはまとめのページがあり、質問に答えることで、内容をきちんと理解できたか把握することができます。
「Owl Diaries」との違いは?
同じ作者が書いた小説に「Owl Diaries」というシリーズがあります。どちらも日記形式で、装丁も似ていますが、内容はだいぶ異なります。
- 同じところ
1冊あたりのページ数(72ページ)と語数(約2,500~3,000語)、全ページフルカラーで絵が大きめ、日記形式(1人称)、キャラクターの台詞は全てフキダシになっている、という点はどちらのシリーズも同じです。難易度も同じくらいなので、「Owl Diaries」が読めれば「Unicorn Diaries」も読めるし、その逆も可能だと思います。
- 違うところ
まず、「Unicorn Diaries」の方が造語が少なめです。
そして「Owl Diaries」は学校生活を描いたシリーズですが、「Unicorn Diaries」は(学校生活が舞台でありつつも)魔法の世界でのちょっとした冒険をメインに描くファンタジー小説です。
ユニコーンたちが暮らす学校(みんな学校で先生と一緒に暮らしています)では、先生が毎週出す課題をクリアするとpatchがもらえ、patchをたくさん集めると学校を卒業できることになっています。学校の周りには、森や野原、山など豊かな自然が広がり、そこにはドラゴンやトロール、マーメイド、ゴブリン、ピクシーなどたくさんの魔法の生き物も暮らしています。「Unicorn Diaries」は、ユニコーンたちが各々の特殊能力を活かしてこの魔法の生き物たちとの交流を楽しんだり、時にはトラブルを起こして解決したりしながら卒業を目指してpatchを集めていく姿を描いています。
patchを集める過程を通じて、道徳的な要素が描かれていることも大きな特徴です。たとえば3巻ではbrave、4巻ならimaginationが小説のテーマになっています。patchを集めながらテーマの大切さが説かれるので、説教臭くなく、自然なかたちで道徳に触れられます。
「Owl Diaries」ではちょっと嫌な感じの子が出てきたり、学校生活にありがちな人間関係のトラブルも描かれますが、「Unicorn Diaries」ではユニコーンたちはあまりゴタゴタせず、基本的にみんな仲良しで、一致団結して問題に立ち向かいます。そのため、人間関係のゴタゴタした話が苦手な場合は、「Unicorn Diaries」の方がおすすめです。
また完全に個人の主観ですが、笑える場面は「Owl Diaries」の方が多いです。「Unicorn Diaries」は登場人物がみんな真面目ないい子なので、面白いジョークが飛び出すシーンなどは少なめです。
★↓「Owl Diaries」のあらすじと感想はこちら↓★
各巻のあらすじと感想
シリーズは全10巻。ここからは筆者が読んだ6巻までのあらすじと感想をご紹介します。
#1 Bo’s Magical New Friends
ユニコーンのBoは、親友がほしいと思っている女の子。そんなある日、学校に新しいユニコーンがやって来ます。絶対に仲良くなりたい!と張り切るBo。ちょうど今週のpatchは「誰かを助けること」という課題をクリアすればもらえることになっていました。そして新しく来たユニコーンは自分の特殊能力が何かわからず困っている様子。Boは自分の「週に1度だけ誰かの願いを叶えられる」という特殊能力を使えば、新しく来たユニコーンの困りごとを解決でき、自分もpatchが貰えるとひらめきますが――。
1巻ということで、各キャラクターの紹介を兼ねたお話です。Boの「週に1度だけ願いを叶えられる」という特殊能力はとても魅力的ですが、自分の願いはこの特殊能力では叶えられないという点がミソだと思いました。それにしても、私も何か特殊能力がほしいなぁ!!
#2 Bo and the Dragon-Pup
ある朝起きたらブランケットやスリッパ、先生のメガネが消えていた――。ショッキングな出来事に騒然となるユニコーンたち。さっそく探偵になりきり、犯人捜しをはじめます。現場にニンジンの食べかすが残されていたことや、小さな高窓が開いていたことから、犯人はドラゴンではないかと疑いますが…炎を噴いたり石を投げたりするという恐ろしいドラゴンの巣を、どうやって調査すればいいのでしょうか? そしてドラゴンたちも何やら困っているようで――!?
ドラゴンは炎の色の食べ物(トマトやオレンジやカスタード)しか食べないという設定がとっても可愛い!!犯人捜しについてはちょっと残念なオチでしたが、それよりもユニコーンたちとドラゴンとの関わりが素敵で、メルヘンでファンタジーな魔法の世界を堪能できました。
#3 Bo the Brave
今週のpatchは “BRAVERY patch”。外でキャンプをすればこのpatchが貰えると聞き、ユニコーンたちは早速2グループに分かれ、草原にテントを張ります。ところが夜になると、どこからか恐ろしい音が聞こえてきました。勇気と知恵を振り絞って音の調査に向かったユニコーンたち。これで一件落着かと思いきや、なんとケンカを始めてしまいます。果たしてpatchは貰えるのでしょうか!?
初めてケンカするシーンがありましたが、お互いに主張をぶつけ合いつつも、心配し合っている様子も描かれ、とても健全なケンカでした。本当にこのシリーズは嫌な子がおらず、安心して読めます。
それから、物語冒頭にほんの一段落ですがTree SpriteとFairy、Pixieの違いについて説明した文章があります。内容はあくまでこのシリーズ向けの設定ですが、3者の違いをよく知らなかったので、調べるいいきっかけになりました。
#4 The Goblin Prince
「”imagination”で森に住む魔法生物たちの問題を解決せよ」という今週の課題を聞き、張り切るユニコーンたち。BoとSunnyはゴブリンプリンセスの「退屈なお城での暮らしはもう飽き飽き!女王になって空を飛んだりみんなを従わせてみたい」という願いを叶え、patchを貰おうとします。ところがプリンセスを1日だけ女王にした途端、森のあちこちで大問題が発生!一体何がどうなっちゃったの!?
ちょっとワガママなプリンセスの願いを叶えたことで、森のみんなが大迷惑したわけですが、プリンセスにもワガママを言いたくなる理由があるし、ユニコーンたちもそれを理解しようと努めるところに、このシリーズらしい優しさを感じました。imaginationの大切さがとてもよく伝わってきます。
#5 Bo and the Merbaby
「人魚の赤ちゃんが生まれそう」というビッグニュースを聞き、沸き立つユニコーンたち。そこで今週は、ユニコーンたちが赤ちゃんのための贈り物を準備したり、water showの向けて水中での新しい技を学んだり、水中生物を助けたりすれば”WATER patch”がもらえるになりました。ところが生まれてきた赤ちゃんには尾びれが1つしかなく、泳げないということが判明します。ユニコーンたちは赤ちゃんを助けようと、魔法の力を持つGolden Fishに会いに行きますが――。
シリーズ最初の方では、学校の外の世界を怖がっていたのに、今ではすっかり自分たちだけで冒険に出かけるようになったユニコーンたち。頼もしくなったものです。今作は、障がいについて全然説教臭くないトーンで描いており、結末も納得感のある内容でした。
#6 Storm on Snowbelle Mountain
朝からマフィンを焼いたユニコーンたち。食べようとしたら、あれ?席にいない子が3匹も!これから学校に行かなくちゃいけないのに、3匹はのんびり外で雲を見ていたのでした。そんなある日、Boたちは授業で偉大な探検家について勉強します。「イエティがいるという証拠を探しにSnowbelle Mountainに探検に出たまま行方不明になった」というその探検家に敬意を表し、なんと、ユニコーンたちは今週のpatchをもらうためにSnowbelle Mountainでキャンプをすることに。最初はスキーをして楽しんでいましたが、やがて大吹雪がやってきて――。ユニコーンたちは無事に下山できるのでしょうか?そしてイエティは本当にいるのでしょうか!?
天候が変わりやすい山では、次にどんな行動をすべきか判断しなければいけない場面が続きます。悪天候ですぐ吹雪きになる中、「もっとスキーしたい」「もう下山した方がいい」とか、「朝日を見に行こう!」「でもまた吹雪が来るかも…」などとユニコーンたちの意見が分かれるシーンが続き、ドキドキハラハラしながら読みました。
シリーズも第6巻ということで、少しずつキャラクターの特徴がはっきりしてきました。時には意見が対立しつつも、相手への敬意を大切にし、ひどい揉め事にはしないユニコーンたちの姿が素敵です。冒頭の何気ないマフィンのシーンが後半とつながっていて考えさせられました。時間に追われる忙しい日々を過ごしがちだけど、ゆっくり過ごすことも大切ですね。
筆者が読んだのはここまでです。以降の巻も読むことができたら、随時感想を追記します。