やさしい英語で読める気楽なミステリー「Young Cam Jansen」

リーダーズ
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「Nate the Great」と同じくらいのやさしい英語で楽しめるミステリー「Young Cam Jansen」シリーズを紹介します。

概要

  • PENGUIN YOUNG READERS LEVEL3
  • YL1~1.5(主観)
  • 語数:約1,000~1,800語
  • 全20冊。1話完結なのでどこから読んでも問題なし。
  • 気楽に読めるタイプのミステリー小説。主人公は特殊な記憶力(カメラアイ)を持つ少女。その能力を活かし、探し物などのちょっとした事件を解決する。
  • 全ページにカラーイラストあり。
  • 姉妹シリーズ「Cam Jansen」シリーズあり(YL2~3)

「Young Cam Jansen」シリーズは、小学生の女の子Camと友人Ericが主人公のミステリー小説。Camとは主人公の愛称で、カメラのこと。彼女は見たものを写真のように記憶できる特殊能力を持っており、その力を使って無くなった物を探し出したり、ちょっとした事件を解決する――というシリーズです。ミステリーですが殺人事件や警察を呼ぶような重大事件は発生しないので、怖い話は苦手だという方でも安心して読めます。巻末には毎回、お話の内容に関するちょっとしたクイズもついています。短い章立てになっているため、「今日はここまで」と決めて読みやすい構成です。

気楽なミステリーであることや、中学レベルの簡単な英語で書かれていることなど、「Nate the Great」(特にシリーズ初期のもの)に似ています。「Nate the Great」と同じようなレベル帯の洋書を読みたい方におすすめです。

なおこのシリーズには「Cam Jansen」シリーズという、少し成長したCamが主人公の続編があります。YL2~3のため、「Young Cam Jansen」読了後すぐに読むには(人によっては)ちょっと難しいかもしれません。ですが、もしこのシリーズが気に入れば「次はCam Jansenも読めるようになりたい!」という目標にできると思います。

PENGUIN版とPUFFIN版の違いについて

このシリーズは、元は「PUFFIN EASY-TO-READ」レベル2として出版されていましたが、その後「PENGUIN YOUNG READERS」レベル3として再出版されました。両者は表紙のレイアウトが少し異なりますが、内容は同じです。

注意点として、PENGUIN版の方がPUFFIN版よりも文字が大きいです。また両者はフォントが少し異なります。文字の大きさやフォントで読みやすさが変わるという方もいると思います。Amazonや中古市場ではどちらの版も販売されていますので、気になる場合は自分に合う方を選んだ方がよいかもしれません。

あらすじと感想

全20冊のうち12冊読了。ここからは実際に読んだ巻について、あらすじと感想を紹介します(入手できていない巻は省略します)。

#1:Young Cam Jansen and the Dinosaur Game

  • YL1.2(主観)
  • 語数:1,248語

友人の誕生日会に招かれたCamとEric。会場までお父さんに車で送ってもらいますが、お父さんは招待状を家に忘れてきてしまい、場所がどこだかわかりません。そこでCamが目を閉じ”Click!”と言うと――見たものを写真のように記憶できるCamの特殊能力で、招待状に書かれた住所を思い出すことができました。さて、会場に着くと、入り口で瓶に入ったおもちゃの恐竜の数を当てるゲームが始まります。予想した数を一人ずつ紙に書いていき、正解に一番近い人が勝ちというルールです。「勝つぞ!」と意気込むEricでしたが、思わぬ結果になり――。

シリーズ第一作。シリーズ全体を通して言えることですが、「手がかりが全て読者に提示され、読者も一緒になって謎を解く」というタイプのミステリー小説ではなく、Camが謎を解く様子を眺めて楽しむタイプのお話です(読者に明示されない手がかりがあるので)。誕生日会の様子や登場人物の行動に「こういう子いるよね~!」と共感しながら読みました。

#3:Young Cam Jansen and the Lost Tooth

  • YL1.0(主観)
  • 語数:1,273語

サンクスギビングデーに向け、学校で工作をしていた時、CamのクラスメイトAnnieの乳歯が抜けてしまいます。Annieは抜けた乳歯を持ち帰り、tooth fairyにコインと交換してもらおうと考えます。ところがいつの間にか彼女の乳歯はなくなってしまいました。Camが目を閉じて”Click!”と言いながら記憶を頼りに探しても、乳歯はどこにも見つからず――。

乳歯を探す間に工作の時間が終わり、みんなが掃除を始め、次の授業が始まり、ついにはバスに乗って帰る時間になってしまう――。AnnieやCamの焦る気持ちがとてもよく伝わってくるお話でした。サンクスギビングデーの工作をするシーンでは、アメリカの小学校の様子を少し垣間見ることができます。日本にはない祝日なので、文化を知るきっかけになりました。

#4:Young Cam Jansen and the Ice Skate Mystery

  • YL1.2(主観)
  • 語数:1,117語

CamとEricは、Ericのお父さんと一緒にアイススケート場にやって来ました。お父さんはロッカーのカギを預かろうとしますが、Ericは「もう赤ちゃんじゃない!」と言って、カギを自分のポケットにしまいます。ところが滑っている最中にEricはレールにぶつかって転んでしまい、ポケットの中のカギがなくなっていることに気付きました。さて、2人はお父さんに知られる前にカギを探し出せるのでしょうか!?

「もう赤ちゃんじゃない!」と言ってしまった手前、カギをなくしたことをお父さんに言い出せないEricの様子が可愛らしくて、ニコニコしながら読みました。同じような経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

#6:Young Cam Jansen and the Pizza Mystery

  • YL1.1(主観)
  • 語数:1,392語

Cam、Eric、Camのお父さんの3人は、ショッピングモールを訪れます。混雑したモールの中でピザ屋さんに入ると、ここもまた大混雑。Camは席取りをしようと、椅子にジャケットをかけておきますが――少し目を離した隙にジャケットはなくなり、取っていたはずの席もどこだったのかわからなくなってしまいました。さて、Camは持ち前の記憶力を頼りにジャケットを探し出すことができるのでしょうか!?

物語後半まで伏線に気付けず、謎が解けた時は「なるほどー!」と唸りました。「ジャケットを探す」というと一見地味ですが、Camの記憶術がこれでもか!というくらい発揮され謎が解けていく様子は、とても鮮やかで印象的でした。

#7:Young Cam Jansen and the Library Mystery

  • YL1.2(主観)
  • 語数:1,403語

Cam、Eric、Camのお父さんの3人は車で図書館に行きます。CamとEricがそれぞれ気に入った本を見つけ、お父さんを呼びに行くと、お父さんは大好きなミステリー小説を読んでいるところでした。本を借りる手続きを済ませた3人はスーパーへ向かいますが、買い物メモが見当たりません。どうやらお父さんがどこかへ落としてしまったようです。さて、3人はメモを見つけ、無事に買い物を済ませることができるのでしょうか!?

物語の中に登場する、Camがお気に入りだという小説”Blueberries on the Loose!”を私も読みたくなりました。Camが内容を少し紹介してくれるのですが、オチがあってとても愉快なお話です。スピンオフみたいな作品があったらいいのになぁ。

#8:Young Cam Jansen and the Double Beach Mystery

  • YL1.3(主観)
  • 語数:1,161語

Cam、Camのお母さん、Mollyおばさん、そしてEricの4人はビーチに遊びに行きます。貝殻を拾おうと、Camのお母さん以外の3人は波打ちぎわへ。ところがお母さんのところへ戻ろうとした時、目印にしていたパラソルが見当たらないことに気付きます。お母さんはどこ? さらにこの後もう一つ、見見当たらないものが出て来て――。果たしてCamたちはこの2つの謎(”Double Beach Mystery”)を解決できるのでしょうか?!

タイトル通り、2つのミステリーに挑むお話です。今回は丁寧に張られた伏線が見事に回収されていく、ミステリーのお手本みたいな展開で、納得感があり気持ちの良いお話でした。

#9:Young Cam Jansen and the Zoo Note Mystery

  • YL1.3(主観)
  • 語数:1,039語

今日はクラスで動物園へ遠足に行く日。Ericは動物園へ行くための同意書をずっと提出し忘れていましたが、「今日こそ持ってきた!」とスクールバスの中で嬉しそうにCamに見せます。学校に着いたEricは先生に同意書を提出しようとしますが――なんと同意書が見当たりません。このままでは1人だけ動物園へ行けなくなってしまう…。2人は無事に同意書を探し出せるのでしょうか!?

遠足のお話かと思いきや、遠足に出発するまでを描くお話で、動物たちは出てきません。これは予想外でした(笑)。今回は謎解きの仕掛けもいつもとパターンが違っていて、予想外続きの展開が続き、最後まで飽きずに楽しめました。

#11:Young Cam Jansen and the Substitute Mystery

  • YL1.1(主観)
  • 語数:1,602語

担任の先生がお休みのため、CamやEricたちのクラスにMr. Baker先生が代理の先生としてやって来ました。担任の先生からは「黒板に課題を書いておいた」という伝言があったのに、黒板はきれいに消されてしまっており課題の内容がわかりません。さらに今度はランチの時間、先生はコートをどこかに置いてきてしまったことに気付きます。コートがないと寒すぎて外に出られず、お弁当も食べられません。そこでCamは問題を解決すべく、ある方法を提案します。

「コートを探す」という一見地味なテーマですが、Camたちの個性が活きる展開で、謎解きの方法もいつもと異なるため、新鮮な気持ちであっという間に読み終えました。それにしても途中でMr. Bakerの持ち物としてバブルガムが登場するシーンがあり、笑ってしまいました。アメリカの小学校って、先生もポケットにガムを入れているんですね。日本とは全然文化が違うなぁ。

#12:Young Cam Jansen and the Spotted Cat Mystery

  • YL1.5(主観)
  • 語数:1,801語

寒い雨の日、クラスで一番早く登校したCamとEricが教室の隅に置かれた忘れ物のセーターを拾い上げようとすると、中から白猫が飛び出してきました。しっぽに黒い模様のあるこの猫は、Spottyと名前の書かれた首輪をつけています。一体誰の飼い猫で、いつどこから、なぜ教室に入り込んだのか――Camの名推理が始まります!

いつものことですが、細やかに描写されているCamたちの行動が見事な伏線になっていて、なるほどそういうことか!と納得しきりでした。それに、猫の絵がとても可愛くて…特に、ラストシーンで抱きかかえられている猫の顔がふにゃあと溶けていて、嬉しい気持ちがよく伝わってきました。必見です!

#14:Young Cam Jansen and the Molly Shoe Mystery

  • YL:1.2(主観)
  • 語数:1,451語

Cam、Camのお父さん、そしてEricの3人は、Mollyおばさんを迎えに空港へとやって来ました。空港のロビーは日差しがさんさんと降り注いでおり、3人は手で日差しを遮りながらMollyおばさんを探します。おばさんはすぐに見つかりましたが、足元には靴下だけ履いており、靴は履いていませんでした。おばさんの靴はどこへ?Camたちの推理が始まります!

8巻(Young Cam Jansen and the Double Beach Mystery)にも出てきたMollyおばさんが再び登場!8巻ではそうでもありませんでしたが、今回、おばさんはそそっかしすぎる愉快なキャラクターとして描かれています。彼女のうっかりしまくりな行動に3人が振り回される様子がとても愉快でした。

#15:Young Cam Jansen and the 100th Day of School Mystery

  • YL1.2(主観)
  • 語数:1,648語

クラスに新しくMariaという女の子がやって来ました。今日は学校が始まって100日目の記念すべき日。校長先生の発案で、各クラスはLetter Partyを開くことになります。これはクラスごとに割り振られたアルファベットで始まるものを飲み食いするというパーティー。Camたちのクラスは”P”ではじまるものを用意しに、カフェテリアのキッチンへと向かいます。ところがそこに用意されているはずのピザ(Pizza)は無くなっていました。一体なぜ?ピザはどこへ?Camたちはこの謎を解いて無事にピザを食べられるのでしょうか?

新しいキャラクターMariaも一緒になって謎解きにチャレンジ!Letter Partyはクラスによって食べられるものが違うため、色々な食べ物が登場するとてもお腹の空く話でした。こういったパーティーなどの催しはいかにもアメリカの小学校という感じがして楽しいですね。

#16:Young Cam Jansen and the Speedy Car Mystery

  • YL1.4(主観)
  • 語数:1,569語

学校の体育館に集まったCamとクラスメイトたち。ここでは6年生の生徒たちがブースを設け、地球環境を守るために何ができるか説明する「Green Fair」が開催されています。早速ブースを見て回りますが、Benという男の子が展示していたSpeed Carが無くなってしまいました。犯人は一体誰? 早速探しはじめるCamとEric。一方、クラスメイトのDannyはつまらないジョークばかり披露し続け――。

#12でCamたちに対抗して謎解きをしようとしたDannyが今回も登場です。場の空気を読まずにジョークを飛ばしてばかりいる様子にちょっとイラっとしつつ、現実世界にもこういう人っているよなぁなどと考えました。グリーンフェアということで、クリーンエネルギーなどについてもわかりやすく説明されています。物語の中でこうした内容に触れられるのは勉強になりますし、とてもいいですね。


なかなか手に入りにくいシリーズですが、他の巻も入手できたら感想書きます。Young Cam Jansenシリーズ、ミステリー好きだけでなく、ファンタジーは苦手という方にもおすすめです。

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