チャプターブックへの移行期にぴったりの可愛らしいシリーズ「Houndsley and Catina」。犬のHoundsleyと猫のCatinaが織りなす、心温まる物語です。シリーズ4冊のあらすじと実際に読んだ感想を紹介します。
概要
- YL1.5~2(主観)
- 語数:約1,000~1,250語
- 全6冊。犬のHoundsleyと猫のCatinaが主人公の、可愛らしく心温まる物語
- 全ページにカラーイラスト入り
「Houndsley and Catina」は、Candlewick Sparks(Candlewick社から出版されているSPARKS for new readers!というリーダーズ)の中のいちシリーズ。全6冊で、動物が主人公の可愛らしいお話が好きという方におすすめです。
どの本も3つのチャプターで構成されています(短編集ではありません)。1冊でひとつのお話が完結するため、全6冊のうち好きな1冊だけを読んでも問題ありませんし、読む順番も特に決まっていません。
全てのページに水彩で描かれた優しいタッチのカラーイラストが挿入されています。絵本から少し長めのお話に移行する時期にぴったりです。
英語について、使われている単語は一般的なもので、スラングなどは登場しません。ですが一文あたりの長さがちょっと長めで、関係代名詞がずっと続くなど、意味が取りにくいと感じた部分もありました。
あらすじと感想
ここからは各話のあらすじと、実際に読んだ感想を紹介します。
なお、全6作のうち、4作品を1冊にまとめた本が出版されています。私はこちらに収録されている4作品を読みました。1作品ずつ購入することもできますので、お好みでどうぞ。
Houndsley and Catina
- YL1.5(主観)
- 語数:1,068語
- E. B. White Read Aloud Award Winner(2007)
3つのチャプターで構成されています。
- Chapter1は猫のCatinaの物語。writerになりたいCatinaは、毎日夕食後に一生懸命お話を書いています。ある日、完成した大作を親友で犬のHoundsleyに見せますが――。
- Chapter2は犬のHoundsleyの物語。Catinaたちのために毎日ご飯を作っているHoundsley。料理上手な彼は、料理のコンテストに出場しますが――。
- Chapter3は2人の物語。蛍をながめながら、2人が思うこととは。
Chapter2までは失敗やちょっと辛い展開も描かれ、この先どうなってしまうのかとヤキモキしながら読みました。ラストのChapter3は圧巻でした!これまでの2章を経て2匹が導き出した結論が、読者を包み込んでくれるような温かい言葉で描かれます。私はちょうど落ち込んでいた時にこの物語を読んだのですが、ラストの文章が胸に刺さり、不覚ですが涙が出ました。子ども向けだと侮れません。大人にこそおすすめしたい作品です。もしシリーズの中で1冊だけ読むなら、個人的にはこの本がオススメです。
Houndsley and Catina and the Birthday Surprise
- YL1.6(主観)
- 語数:1,201語
何だか悲しそうな様子のHoundsley。Catinaは「雨が降っているから?」「セーターに穴が開いているから?」などと理由を尋ねますが、返ってきた答えは全て「NO」でした。さて、Houndsleyが悲しい顔をしている理由とは?どうしたら元気になれるのでしょうか?
前作”Houndsley and Catina”のような辛いシーンは無く、落ち着いて楽しめました。予定調和的な物語ではありますが、心温まるお話で、もっと2匹の物語を読みたくなります。
Houndsley and Catina and the Quiet Time
- YL1.8(主観)
- 語数:1,202語
初めて雪が降り積もった冬のある日、外を眺めながら、Houndsleyは「この静かな時間が大好きだ」とつぶやきます。対してCatinaは、雪のせいで予定が狂ってしまうのではないかと落ち着かない様子。実はこの2匹、コンサートに出演する予定で、今日まで練習を重ねてきたのでした。ドアが開かないほどの大雪ですが、果たしてコンサートは無事開催されるのでしょうか?
降り積もる雪を眺めている時って、Houndsleyの言う通りで、本当にしんとして静かな時間が流れている気がします。そんな空気を思い出しながら読みました。それにしてもCatinaのワンピース(ドレス)の柄が毎回おしゃれでとても素敵です。文章中にも、洋服へのCatinaのこだわりが垣間見えました。
Houndsley and Catina Plink and Plunk
- YL2(主観)
- 語数:1,256語
カヌーに乗って静かな時間を満喫するのが大好きなHoundsley。ある日Catinaと一緒にカヌーに乗りますが、喋りっぱなしのCatinaにウンザリしてしまいます。また別の日、今度はCatinaが大好きなサイクリングにHoundsleyを誘いますが、彼は乗り気ではない様子で――。
一見、何のつながりもなさそうに見える1章と2章の内容が、最後の3章でうまくつながって…という構成で、”Houndsley and Catina”に少し似ています。今回は隣人のBertも登場。友情のあり方について改めて考えさせられました。
4冊の中では長い文章が一番多く、文の意味を取りにくい部分もあったため、少し高めのYLにしました。