普段は平凡な小学生、でもその正体は悪を倒すスーパーヒーロー! …「Kung Pow Chicken」は、そんなベタだけど誰もが共感できるシリーズです。フルカラーで漫画みたいな構成なので、小説が苦手な人も抵抗なく読めるかも◎全5巻を詳しく紹介します。
概要
まとめ
- Scholastic Branches
- YL1.8~2(主観)、語数約2,300~2,900語、全5巻(完結)、各巻約72ページ。
- 全ページフルカラー、会話文はフキダシになっている(半分漫画みたいな構成)、文字小さめ。
- 舞台はニワトリが暮らす世界。主人公は普通の小学生男児(ニワトリ)だが、実は正義のヒーローKung Pow Chicken。町の平和を守るため悪と戦う(でもみんなには内緒)――というお話。
どんなお話?
「Kung Pow Chicken」は、児童書を自分で読みはじめた頃の子どもたち向けレーベル”Scholastic Branches”の中のいちシリーズ。
物語の舞台はニワトリたちが暮らす普通の町Fowladelphia。主人公のGordonは普通の小学2年生男子(ニワトリ)ですが、彼にはひとつだけ秘密があります。それは、時々スーパーヒーローKung Pow Chickenに変身し、悪い奴らと戦っているということ。今日も悪と戦うためヒーロースーツに身を包み町へ出かけるが――というストーリーです。
シリーズの魅力は、まずなんといっても悪と戦う場面! ただ戦うのではなく、知恵を絞って作戦を立てたり、弟や科学者の叔父さん、他のスーパーヒーローと協力したり、新聞記者に正体を嗅ぎ回られて悩んだり…そんなシーンが続くのでついつい応援したくなり、読んでいて飽きません。
そして、要所要所で登場するお母さんも良いスパイスになっています。自分の息子が実はスーパーヒーローだなんて思ってもいないお母さんは、普通の小学生として息子たちの世話を焼き、時にはお説教することも。お母さんに怒られないよう、門限を気にしながら悪と戦う様子はコミカルで笑えるし、共感必至です。
英語について
英語面では、易しい英語で書かれているものの、口語や辞書にはない表現、学校英語では習わないようなイディオムも多く登場します。海外で暮らしたり英語動画をたくさん見て育った人ならスッと読めると思いますが、学校英語で育った人の場合はちょっと苦戦するかもしれません。ネイティブは普通に使うけれど日本の学校のテストでは✕かもしれない表現(たとえば Let’s go see ~.)もたくさん登場します。
Scholastic Branchesの他のシリーズでは、同じ単語が何度も登場するので、何冊も読めば自然と新しい言葉を覚えられることも多いのですが、このシリーズは繰り返し登場する単語が少ないように感じました。知らない言葉に出会った時、なんとなく意味は類推できても、前にも見たことがあるからわかる!もう覚えた! という状態にはなりにくいという点も少し難しく感じた理由です。
あらすじと感想
ここからは全5巻のあらすじと感想を紹介します。
#1 Let’s Get Cracking!
- YL2(主観)
- 語数:2,369語
あらすじ
秋のある日、Gordonと弟は学校の遠足でFowl Fall Festivalを訪れます。ところが屋台をまわろうとしたその時、突然、他のニワトリたちの羽根が次々と抜け落ちてしまいました。一体なぜこんなことに!? 兄弟は怪しいニワトリを発見しますが――。
スーパーヒーローとして初めて悪と戦う兄弟。その奮闘ぶりが微笑ましいと同時に、ヒーロースーツのレオタードがお尻に食い込んだりなかなか脱げなかったりというシーンに笑いました(お尻に食い込むことを意味する単語があるんですね、初めて知りました)。これから! という時にお母さんから電話がかかってくるあたりもコミカルで、クスクス笑えるシーン満載です。
英語面は、(全巻通してですが)私は学校英語で育った大人のため、知らない口語がたくさんあり苦戦しました。そのためYL2にしましたが、動画などで慣れている人ならもう少し易しく感じるかもしれません。
#2 Bok! Bok! Boom!
- YL2(主観)
- 語数:2,887語
あらすじ
Gordonと弟はお母さんに連れられオペラハウスへ。今夜はオペラ歌手Honey Combのコンサートが開かれるのです。新聞記事によると、会場には科学者Screech博士も駆けつけるとか。ところがコンサートの最中、Honey Combは突然何者かに連れ去られてしまいます。GordonはさっそくPung Pow Chickenに変身し、犯人の行方を追いますが――。
今回登場する悪者は、いかにも「悪者」という定番の設定で、1巻よりも読みやすく感じました。新聞記者SamがKung Pow Chickenの周囲をうろつき、あること無いこと記事に書きまくる様子も読んでいてちょっとイラっとしましたがリアルです。
英語面では、cheese/big cheese/cheesyなどの言葉遊びが愉快でした。こういうちょっとしたダジャレのようなものをサッと言えるようになりたいものです(いつか…)。
#3 The Birdy Snatchers
- YL2(主観)
- 語数:2,693語
あらすじ
ある朝、いつものように学校へ行こうした兄弟は、町の人たちや学校の先生の様子が変だということに気付きます。なんとみんなゾンビになってしまったのです! 兄弟はさっそくスーパーヒーローに変身し、科学者の叔父さんの力も借りて原因を突き止めようとしますが――。
ゾンビ! 定番! この安心感! 悪者の正体やゾンビ化した理由はあっさり判明するため、ちょっと肩すかしを食らった感じがしました。ですが大量のゾンビの群れが登場し、途中でピンチに陥る場面もあるなど、ハラハラドキドキの展開が楽しいです。新キャラクターも登場するなど、物語の世界が広がってきました。
#4 Heroes on the Side
- YL2(主観)
- 語数:2,732語
あらすじ
Gordon一家は旅行でNew Yolk Cityを訪れます。なんと旅行中にタイミングよく、sidekick(スーパーヒーローの相棒)だけが集まるパーティーが開催されると知ったBenny。ところが到着してみると、招待客のsidekickたちは全員、何者かによってパーティー会場に軟禁されています! そこでGordonとBennyは、他のスーパーヒーローと一緒に救出を試みますが――。
今回はスーパーヒーローが大集合! しかもヒーローではなくその相棒の活躍に焦点があてられており、いつもと違う角度からこの物語の世界を楽しめました。舞台となる町はニューヨークをもじった名前になっており、登場する建物も有名なものばかりです。知っている人はフフッと笑えるし、知らない人も調べてみると面白いかもしれません。
#5 Jurassic Peck
- YL1.8(主観)
- 語数:2,873語
あらすじ
兄弟は学校の遠足で歴史博物館へ。Dr. Strangebokからニワトリの祖先が恐竜だということを学びますが、Gordonは全く興味を示しません。その週末、科学者の叔父さんの家を訪ねた兄弟は、同じくスーパーヒーローのBeak Girlと一緒に叔父さんの発明した新しいガジェットを試してみます。ところが誤ってタイムマシンで恐竜時代に飛ばされてしまい――。
3巻にも登場したBeak Girlが再び登場! タイムマシンを発明するなんて叔父さんすごすぎでは? そしてラボの棚にプルトニウムが置いてあるの? などとちょっと思いましたが、このシリーズの世界では細かい部分は気にしない方がよさそうです。恐竜世界が舞台ですが、お話のメインはあくまでもスーパーヒーローと悪の戦いです。最終巻ではありますがこれまでと同様に一話完結で終わり、シリーズ全体のまとめのようなものは特にありませんでした(ちょっと肩すかしをくらいました)。
全巻読破後の感想
※ここからは多少のネタバレを含みます。
今回この記事を書くために、1年ぶりに再び全巻読破しました(2回目)。悪と戦う正義のスーパーヒーロー! という王道を行くお話なので、兄弟の戦いを安心して楽しめました。お母さんや新聞記者など、戦いの足を引っ張る存在も良いスパイスになっています。
ただ、キャラクターも次々増える新たな設定も魅力的で、深堀りすれば話も広がりそうなのに、風呂敷を広げっ放しで畳まずにシリーズが完結してしまいます。伏線になりそうな設定もあるのに回収されずに終わるため、個人的にはとてももったいないと感じましたし、正直ちょっと消化不良でした。
英語面については、1年前に読んだ際は記事の概要部分にも書いた通りで少し苦戦しましたし、YL2.2ぐらいに感じた巻もありましたが、今回はスラスラ読めました。少し成長できた…としたら嬉しいです。

